在宅勤務に合った法制度を

テレワーク

在宅勤務の定着(日経の記事より)

 先週、「テレワークを制度化するなら職務給的にしたいが、法律が・・・」というところまで書きました。ちょうどいいタイミングで、同じテーマを採り上げた記事が月曜日の日経新聞に載っていました。
 雇用制度、在宅前提に 「ジョブ型」や在宅専門の採用(日本経済新聞6月8日朝刊)

 会員限定記事なので思いっきり要約すると、「在宅勤務の定着に向けて、企業が制度の見直しを始めており、出社して働いた時間を前提とする日本型の雇用制度が変わり始めた」という内容です。

 在宅勤務しているときの働きぶりはどうしたら確認―というより監視―できるかを考えるより、出来上がった仕事の成果で評価する、職務給的な考え方に移行するというのは至って自然な流れです。そして、私の書きたかったことが文末にさらりと書かれていたので少し引用させてもらいます。

長年、日本企業は出社や時間管理をベースにした雇用制度を維持してきた。「コロナを機に広がる多様な働き方の実現は企業だけでは難しい。法制度を含めた労働行政も変化を迫られる」(八代尚宏・昭和女子大副学長)。官民を挙げて社員のフォローが求められる。

法制度がますますアンマッチに

 先週も少し触れましたが、日本の労働法は働いた時間に応じた賃金支払いを義務付けており、例外は管理・監督者、裁量労働制の適用者など一部に限られます。しかし、ホワイトカラーの仕事の多くはこれにそぐわなくなってきています。「いやいや、デスクワークとはいえ単純作業ですよ」という人もいるのはたしかですが、在宅勤務で矛盾がかなり顕在化してきたのではないでしょうか。

 日本では労働時間に応じない賃金は「残業代不払い法案」などと野党にレッテルを貼られ、なかなか認められません。昨年「高度プロフェッショナル」という新たな制度ができましたが、年収1千万円以下は導入できないということになりました。そんな高給取りの人は管理職か専門性の高い仕事がほとんどなので、利用が進まないのは当然です。

 いまだに「ブラック企業」があるのもたしかなので、労働者保護は大切です。しかし、真面目に働いてもダラダラ働いても給料一緒、ではやる気も出なくなりますし、逆に真面目に働いている人が馬鹿を見ることもありえます。だから、労働時間に応じて賃金を支払わなくてもよい労働者の存在を、もう少し広範囲に認めてもよいと私は思います。

 日本の労働基準法は終戦後すぐの1947年制定で、元々デスクワークの仕事にはそぐわない面が多々ありました。(職種によりますが)家でも会社と同じように仕事が出来る時代に、スマホやパソコンはもちろん、電卓すらない時代に作られた法律を当てはめることに無理が生じています。

欧州では「在宅勤務権」の法制化も

今朝の日経新聞にはさらに、このような記事が載っていました。
 在宅勤務が標準に 欧州は法制化の動き、米は企業主導(日本経済新聞6月13日朝刊)

 フィンランドやオランダでは自分の好きな場所で働くことを認める法律が既にあり、ドイツでの「在宅勤務を要求する権利を認める法案」を準備する動きや、イギリスでも政府が在宅勤務権の法制化を検討していることが書かれています。

 日本で一足飛びにここまでは行かないでしょうけれど、少なくとも「在宅勤務も認め、在宅勤務も考慮に入れた法制度」が必要です。商法を全面的に見直して会社法ができたように、現代の労働者保護、新しい働き方に合ったものに改訂してもらいたいものです。

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