年金の追納と資産運用 どちらがお得?

年金手帳とお金

 「年金保険料が未納になっている期間があるのですが、後からでも納めた方がよいでしょうか?」と聞かれることがあります。以前も記事に書いたことがあります。

 未納の年金保険料は納めた方がよいか?(当ブログ記事)

 今回は「年金を追納するのと自分で運用するのとどっちがいいでしょう?」と聞かれまして、「追納!」と即答しましたが、本当に正解なのか検証してみます。(上記記事でも書いていますが、会社員・公務員等で厚生年金保険料を給与天引きされている方や、その配偶者の方は未納になりません。自営業者や学生等の第1号被保険者の話です)

年金保険料を1年分納めると?

 国民年金保険料は月額16,590円(2022年度価額、以下同じ)なので、年額にすると199,080円。国民年金は40年納めると老齢基礎年金として原則65歳から777,800円を受け取れますが、納めていない月があるとその分減額される仕組みです。

 777,800÷40=19,445円なので、仮に保険料を1年分納めていなかった(*)場合に、199,080円を後から納めれば、将来の年金額が毎年19,445円増えることになります。

 (*)単に未納の場合もあれば、保険料免除や納税猶予(学生特例など)になっていた保険料を後から納めるケースもあります。

自分で運用すると?

 もし、この199,080円を追納せずに、自分で運用したらどうなるでしょう?つみたてNISAやiDeCoを利用して(=非課税で)、年平均5%の利回りで20年間運用できたとすると、20年後には528,219円になるので、329,139円増えることになります(30代以下ならもっと長い期間運用することも可能でしょうが、つみたてNISAの非課税期間20年に合わせました)。複利効果おそるべし。

どっちがお得?

 老齢基礎年金は終身で受け取れるので、先程の追納した例で言うと受け取り始めてから死ぬまでずっと、毎年19,445円、年金額が増えることになります。自分で運用して増やした例と比較すると
 329,139÷19,445≒16.92
となるので、17年以上年金を受け取れれば、年金保険料を納めた方が得ということになります。65歳から受給すると82歳ですが、現在25歳以上の人が平均余命をプラスするとこれより上になるので、平均的には年金保険料を納めた方がお得という結論になります。

 株式の期待リターンが5%くらいなので、日本や世界の株式に投資する投資信託を20年間保有し続ければ、年平均5%での運用はあり得ない数字ではありません。しかし、投資なので確実に得られるわけではなくこれより低い収益率やマイナスになることも十分にありえます。年金の方も、給付水準が今より低下することは考えられますが、投資より確実性はずっと高いので、納められる国民年金の保険料があれば、納めておいた方がよいというのが私の結論です。即答したのが間違ってなくてよかった。

 

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