売れ筋商品の信託報酬は?
投資信託を保有している間ずっとかかるコストが信託報酬です。5月22日の記事で「信託報酬が0.25%未満のものなら合格点」と書きましたが、実際どうなっているか調べてみました。
大手販売会社の売れ筋商品をピックアップ
日本で販売されている投資信託は6,000本以上もあります。全部は調べられないし意味もないので、主要金融機関の「投資信託売れ筋ランキング」上位の商品について調べました。
- ネット証券:SBI証券、楽天証券の5/31-6/4の販売額トップ10⇒計20本
- 大手金融機関:3メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)、野村證券の5月の販売額トップ10(野村はトップ5のみ)⇒計35本
各社とも販売額のランキングを載せているので、簡単に“代表選手”を選ぶことができました。ただし、必ずしも売れ筋=よい商品ではないので、「ランキングに入っている商品から選ぼう」というのはやめましょう。
結果
この結果から、
- インデックスファンドの信託報酬はアクティブファンドより平均で1%以上低い
- インデックスファンドの信託報酬はネット証券の方が安い※
- ネット証券ではインデックスファンドが人気だが、3メガ+野村では半数以上がアクティブファンド
ということがわかります。
※ただし、大手金融機関には「インターネット申込限定」の商品があり、こちらはネット証券とそれほど変わらない水準の信託報酬になっています。
1%は大きな差
調べた35本の中には債券やリート(不動産)に投資するファンドもありましたが、ほとんどが株式を対象とする商品でした。株式は、株価の上昇や配当金の受取によって収益を得られますが、株式の期待リターン(期待される年平均の収益率)は、5%前後と言われています。ということは、株式を対象とする投資信託の期待リターンも5%くらいです。
マイナスになる年もある中で、平均して5%くらいプラスになるかな、という商品で1%のコスト増は大きいです。もし確実に10%以上の収益を得られるアクティブファンドがあればコスト差以上に儲かってインデックスファンドよりお得ということになるのでしょうが、プロと言えどなかなか勝ち続けられるわけではありません。
多くのアクティブファンドがインデックスに勝てない
「国内株式アクティブ運用投資信託全体のうち、71%が日経225参照インデックス運用投資信託のリターンを下回る」と金融庁のレポートにも記載されています(金融庁「平成28年度金融レポート 主なポイント」より)。他の資料・文献等でも、アクティブファンドの半数以上はインデックスファンドに勝てていないと言われています。その理由の1つが、この信託報酬の高さにあります。
②③については、次回考察します。