株式投資はなぜ有効か

利益の“もと”を考えてみる

 収益を求めて運用するときには、「なぜその収益を得られるのか」を考えてみることをおすすめします。身近なところで銀行の預金から言えば、銀行は集めたお金を必要とする別の人や会社に預金金利より高い利率で貸しています。こうすることで、預金金利を支払っても銀行は利益を得られます(低金利どころかマイナス金利でこのモデルも厳しくなってきていますが)。私たちが得られる預金利息にはこのような“理由”がきちんとあります。

 多くのネット銀行はメガバンクなど店舗のある銀行より預金金利が高くなっています。後発なので利用者を増やすためという思惑があるのでしょうが、それを可能にする理由はきちんとあります。店舗を持たない分コストがかからないため、金利を上乗せしても利益を得られる構造になっているからです。

 一方、店舗のある銀行でも「退職金限定」でとても条件の良い利率で預金できることがあります。しかしこれは3カ月や6ヵ月限定のことが多く、その後投資性のある商品を購入してもらうための一種の“まき餌”なので要注意です。高金利の理由を考えることで、安心して利用してよいものかの判断ができます。

株式投資の収益の“もと”は?

 前置きが長くなりましたが、それでは株式投資の収益はどこから得られるのでしょう?1つは、配当金です。会社が利益を上げると、その一部が株主に還元されるものですので、まさしく投資活動によって得られる収益と言えます。

 もう1つは、株価上昇によって得られる収益です。買ったときよりも株価が上昇し、高い値段で株を売ることができれば、その差が利益となります。株式投資による収益というと、こちらを思い浮かべる方が多いのではないかと思います。この「株価の上昇」というものをもう少し細かく見てみたいと思います。

 株価は短期的には上がったり下がったりを繰り返します。業績や新サービス開始などその会社特有の要因もあれば、暴落時のように市場全体の要因によることもあります。「今日の株価」や「3か月後の株価」が分かれば売買を繰り返して利益を上げることができますが、それは困難です。書店に行けば、この「株価の予測を行って儲ける方法」を指南する本が山のように売られていますが、再現は困難ですし、また普通に働く多くの人には書かれた方法を実践するヒマもないでしょう。

 それでは長期的には株価はどうなるかというと、その会社が利益を上げて成長すれば(分かりやすく言うと会社が大きくなれば)株価は上がり、逆なら下がるということが理論的には言えます。

どの会社を選べばよいか?そもそも選ばなくてよい

 しかし、数多ある会社の中でどの会社が成長しどの会社が衰退するかを見分けることは困難です。だからこそ、分散投資が大切になります。1社だけに投資した場合には、その会社が倒産してしまえば投資額が全て損失になる(=価値が0になる)こともあります。しかし、業種や規模などが異なる10社に投資すれば10社すべてが倒産する確率は低くなります。

 これを最大限増やして、市場に上場している会社すべてに投資すれば、収益は市場全体の株価の増減率と同じになります。これが先週の記事でお勧めしたインデックス投資です。株価指数の算出方法は様々なので単純にすべての会社の株を100株ずつ購入すれば指数の動きと一致するわけではありませんが、イメージ的にはこのようなものです。個人では到底不可能ですが、多額の資金を多くの投資家から集める投資信託なら可能です。

 市場全体の株価が上がることを期待するということは、「経済の発展を期待する」ということです。詳しくは来週。