良いインデックスファンドとは?

 今週、日本経済新聞のサイトに投資信託のコストとリターンに関する良い記事が載っていたのでご紹介します。誰でも下記リンクから閲覧可能ですので、ぜひご一読ください。
 インデックス型投信、運用成績はコストで決まる?(2021年6月28日日本経済新聞サイト)

投資信託のコストとリターンの関係

 記事では、投資信託のコスト(信託報酬)と5年リターン(5年間の収益率)の関係を調べています。結論としては、
 ・(インデックスファンドは)信託報酬が低いほどリターンが高いことが分かる
 ・アクティブ型(積極投資型)は信託報酬が低いほど高いリターンを期待できるとは限らない
ということです(斜字部分は上記記事より引用)。

 インデックスファンドは株価指数に連動したリターンを目指すので、コストの差がそのまま最終的なリターンの差に反映されます。それに対しアクティブファンドは、様々な手法で株価指数(≒市場平均)以上のリターンを目指すので、コストの差以外にも運用の巧拙がリターンに影響してきます。運用実績が5年以上ある投資信託を対象に調べた結果、それが裏付けられたということです。

リターン上位=良いインデックスファンドではない

 インデックスファンドの中にもコストの違いはあるので、低コストのファンドを選んだ方が良いというのは記事のとおりです。ただし、「リターンランキング」上位のファンド=良いファンドとは限らないので注意が必要です。コストが安くて上位に来ているだけならよいのですが、目標としている指数の動きと乖離している場合があるからです。「プラスの方に乖離しているからよいのでは?」と思うかもしれませんが、常にプラス方向に乖離するとは限らず、次はマイナスに乖離することもありえます。

 特に、記事中の上位5ファンドには純資産が10億円前後しかないものも含まれており、乖離を抑えて指数に連動した運用を行うための資金が不足している可能性があります。積立を開始後は年に1回くらいは「運用報告書」を見て、「純資産総額」と「ベンチマーク(日経平均やTOPIXなど)との乖離」はチェックしておきましょう。

 記事にもあるとおり、インデックスファンドの信託報酬は低下傾向にあり、競争が激化したのはここ3~4年のことなので、最もコストが低い最近のファンドは今回のランキングには登場していません。これからインデックスファンドの積立を開始する方は、信託報酬が0.2%未満で純資産100億円以上のファンドを探すと良いでしょう。

アクティブファンドはやっぱり勝率5割以下・・・

 記事にある「アクティブファンドのコストがリターンに直結しない」というのはその通りですが、それ以上にアクティブファンドの成績が気になりました。記事によれば、日経平均に連動するインデックスファンドの5年リターン実績はプラス80%前後です。記事中の図4を見ると、5年リターンが80%を上回っているアクティブファンドは全体の3分の1にも満たないのではないでしょうか。

 残りの3割前後(?)のアクティブファンドがインデックスを上回るリターンを実現しているのは事実ですが、「インデックスを上回る」方針で手間暇かけて高い手数料をとって、勝率3割。どのファンドが勝てるかは事前にわからないこと、過去の成績が未来にも当てはまるとは限らないことを考えると、やはり長期分散積立投資の“お供”はインデックスファンドがよいように思います。