「オルカン高配当」が設定される意外な理由

一番人気の「オルカン」とは?

 今、日本で一番人気のある投資信託は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称、オルカン)で、なんと13兆円以上もの資産を運用しています。オルカンだけで本当によいか?は検討の余地がありますが、低コストで世界中の株式に分散投資できるので、インデックス投資を始めるなら「NISAでオルカン」はひとまず正しい選択肢だと思います。ちなみに純資産の2位も同じeMAXIS Slimの米国株式(S&P500)で、こちらも13兆近い資産を運用しています。3位は4兆円強なので、この2つが断トツで人気という状況です。ちなみに、「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの登録商標です。

オルカン高配当とは?

 その「オルカン」の名がつく「オルカン高配当」という投資信託が新たに設定されることになりました。

 『オルカン高配当』の設定について(三菱UFJアセットマネジメント)

 「オルカン高配当は、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資
成果をめざし、全世界の高配当株に分散投資を行うインデックスファンドです」(上記リリースより)。当然、銘柄数は絞られる=分散効果は弱まることになります。

 特徴的なのは、「配当払出型」「資産成長型」の2つが用意されており、「配当払出型」の方は分配金が支払われることです。その理由を、「資産を自ら売却することに心理的な抵抗がある方、自分で売却額や売却時期を決めることに負担を感じる方にとっては、分配金として定期的に受け取る仕組みが投資を継続する助けになる場合があります」(上記リリースより)と説明しています。

資産取崩しの1つの形としてはありか

 上記リリースの中で「分配金があるファンドの方が優れている、あるいは分配金がないファンドの方が優れている、というものではないということ」と述べられており、一昔前に流行った(今もある程度設定されている)「毎月分配ファンド」のような、分配金と株式の配当を混同させて買わせるような商品ではないということです。

 積立投資で増やした資産は、老後など必要になったときに取り崩せばよいのですが、いつどのくらい取り崩してよいかの判断は難しいものです。最近は定額や定率の取崩しサービスを提供する証券会社が出てきましたが、それも「こうすればいい」と誰もが納得できるような理論・方法はまだ確立されていないところです。そういった一般投資家に対する一つの答えとして、オルカン高配当を設定する、ということだそうです。

 分散効果が弱まる点で、いわゆる資産形成期にある人(まだ取り崩さない人)が利用するメリットは少ないと私は思います。また、資産形成期と同じ商品で運用して定額・定率取崩しを利用した方が合理的だと思いますが、心理的に取崩しの設定ができない人にとっては「投資しながら自然に取り崩せる」ということで1つの選択肢にはなりうると思います。保有中のコスト(信託報酬)もオルカンよりは高いものの、絶対的な水準としては高くない(0.165%程度)ので。

 毎月分配型は、資産形成期の人には不要ですし、信託報酬が高いものは時期を問わず投資対象として勧めません。そこは間違いのないよう。